インプラント症例
治療症例のビフォー・アフターと詳細
| 患者様 | 30代男性 |
|---|---|
| 主訴 | 前歯が折れた。 |
| 治療期間 | 4ヶ月 |
| 治療回数 | 10回 |
| 治療概算 | 60万円(税込) ※費用は治療当時の料金となります |
| 担当医 | 秋野 徳雄 |
治療動機
60代女性の患者様です。
長年使用されていた上顎のロングスパンブリッジがぐらつくようになり、「しっかり噛めない」とのお悩みで来院されました。
治療前について

診査の結果、9本分の歯を5本の支台歯で支えている長いブリッジが装着されていましたが、支台歯は重度の歯周病(歯槽膿漏)の影響により全体的に動揺していました。
また、上顎全体に6mm以上の深い歯周ポケットが認められ、保存が困難な歯も複数存在している状態でした。
患者様ご自身も、
「抜歯が必要になることは理解しています。抜歯後はインプラント治療を希望しており、できるだけ早く噛める状態になりたいです。」 とのご希望でした。
そこで、残存歯の予後や咬合状態、骨の状態を総合的に評価したうえで、抜歯後の機能回復をできるだけ早期に行う治療計画を立案しました。
治療計画
* 保存不可能な歯の抜歯
* インプラント体埋入
* 即時固定式仮歯の装着
* 最終補綴物への移行
上顎(上の歯)
精密検査の結果、上顎の残存歯は重度歯周炎の影響により予後不良と判断され、保存は困難な状態でした。
患者様は「できるだけ短期間で見た目と噛む機能を回復したい」と希望されており、上顎の残存歯を抜歯した当日に4本のインプラントを埋入し、固定式の仮歯を装着する オールオン4(All-on-4) を計画しました。
オールオン4は、最小限のインプラント本数で固定式の歯を支えることができる治療方法であり、手術当日から仮歯で食事や会話が可能となるため、患者様のご希望に沿った治療法と判断しました。
下顎(下の歯)
下顎については、右側の犬歯・小臼歯を除き、大きな動揺は認められませんでした。また、歯周ポケットも4~5mm程度であり、適切な歯周治療によって保存可能と判断しました。
下顎は抜歯を最小限にとどめ、歯周基本治療および必要部位に歯周外科治療を行ったうえで、欠損部である左右第一大臼歯部に2本のインプラントを埋入する計画としました。
また、上顎のオールオン4では12歯分の歯列を設計するため、上下の咬合バランスを考慮し、下顎もそれに調和した歯列形態となるよう計画しました。
歯列を14歯ではなく12歯分とすることで、歯ブラシや補助清掃器具が届きやすくなり、プラークコントロールの向上が期待できます。インプラント治療は埋入して終わりではなく、その後のメンテナンスが長期予後(残残率)を左右します。
当院では、治療直後の機能回復だけでなく、10年後、20年後を見据えた清掃性・咬合の安定・メンテナンス性を重視し、「生涯にわたり長く使用できる口腔環境の構築」を目標として治療計画を立案しています。
右下第一小臼歯・犬歯
レントゲン検査および歯周組織の精査を行った結果、右下第一小臼歯および犬歯には縁下歯石の沈着が認められ、動揺度も2~3度と大きく、長期的な保存は困難と判断しました。抜歯を行い、その後はブリッジによる補綴治療を計画しました。
インプラント治療ではなくブリッジ治療を選択した理由は以下の通りです。
① 既存の補綴物を有効活用できること
右下第二小臼歯にはすでにメタルクラウンが装着されていました。患者様は機能回復だけでなく審美性の改善も希望されていたため、この歯を支台歯として活用し、セラミックによる自然な見た目の回復を目指しました。
② 短期間での機能回復が可能であること
右下第二小臼歯は動揺や深い歯周ポケットが認められず、支台歯として十分な条件を備えていました。そのため、インプラント治療と比較して治療期間を短縮でき、より早期に咀嚼機能を回復できると判断しました。
患者様にもそれぞれの治療方法のメリット・デメリットをご説明した結果、ブリッジによる機能回復を希望されました。
左下第一小臼歯・第二小臼歯
左下第一小臼歯および第二小臼歯は保存可能と判断し、まず根管治療によって感染源を除去しました。
その後、歯質の補強と長期的な安定性を考慮してファイバーポストを用いた支台築造を行い、土台を整えたうえでオールセラミッククラウンを装着しました。
機能性だけでなく、天然歯に近い透明感と自然な色調を再現することで、審美性にも配慮した治療を行いました。
左下犬歯・前歯部
左下犬歯および前歯部については、根管内に根充剤の劣化が認められたため、まず精密な根管治療を行い、感染源となりえる物質の除去後を徹底しました。
その後、ファイバーポストによる支台築造を行い、歯の強度を回復させたうえでオールセラミッククラウンによる補綴治療を実施しました。
前歯部は口元の印象を大きく左右する部位であるため、形態や色調の調和を重視し、周囲の天然歯と自然になじむよう審美的な改善を図りました。
治療途中

抜歯即時インプラント埋入および即時修復を行った直後のレントゲン写真
抜歯即時インプラント埋入・即時荷重修復修復
レントゲン写真では、埋入したインプラント体とテンポラリーシリンダーが正確に適合していることを確認します。固定式の仮歯(プロビジョナルレストレーション)はレジン製であるため、レントゲン写真には写りません。
ALL-ON-4(オールオンフォー)による即時荷重インプラント治療において、最も重要な条件の一つが「初期固定」の獲得です。
即時荷重を安全に行うためには、埋入した4本すべてのインプラントにおいて35Ncm以上80Ncm未満の初期固定が必要となります。十分な初期固定が得られない状態で即時荷重を行うと、治癒期間中にインプラントと骨の間で微小な動揺が生じ、骨結合(オッセオインテグレーション)が阻害される可能性があります。
良好な初期固定を獲得するためには、
- 適切な長さ・直径のインプラントを選択すること
- 十分な骨量と骨質を確保すること
- 皮質骨(鼻腔底)を活用した埋入計画を立案すること
が重要となります。
本症例では、術前CTによる精密検査の結果、左右臼歯部および前歯部で骨の高さに差(段差)が認められました。そのため、リダクション(歯槽骨整形)を行い、インプラント埋入位置の骨レベルを均一化したうえで、事前に選択したインプラントを計画通りのポジションへ埋入しました。
また、前方インプラントについては鼻腔底付近の皮質骨を活用することで高い初期固定を獲得し、4本すべてのインプラントにおいて十分な埋入トルクを得ることができました。
その結果、ALL-ON-4における即時荷重の条件を満たしたため、手術当日に固定式のプロビジョナルレストレーション(仮歯)を装着しました。
術後直後から審美性および咀嚼機能を回復できたことに加え、長期的な骨結合と安定性を考慮した治療を実現することができました。

下顎(下顎)レントゲン写真
根管治療

術前レントゲン
メタルコアが装着され、根管充填も十分に充填されていない状態でした。

術後レントゲン
ラバーダム防湿下にて根尖を損傷することなく可及的に再根管治療が実現できました。
下顎第一大臼歯インプラント体埋入仮歯装着時。


治療後について
上顎は重度歯周炎により抜歯が避けられない状態でしたが、抜歯即時埋入インプラントおよび即時荷重プロビジョナル(固定式仮歯)を行うことで、治療期間中も見た目や噛む機能を大きく損なうことなく、安心して治療を進めることができました。
上顎の ALL-ON-4(オールオンフォー) による機能回復を中心に、下顎の歯周治療、インプラント治療、根管治療、補綴治療を含めた包括的な治療を行ったため、全体の治療期間は約2年に及びました。
治療中は、歯周組織の安定や咬合の変化を慎重に確認しながら段階的に治療を進め、最終的には上顎ALL-ON-4および下顎のオールセラミッククラウン・ブリッジ・インプラント補綴物の装着まで完了することができました。PCRも3%ととても良好です。



治療後は、しっかりと噛める機能を取り戻しただけでなく、口元全体のバランスや歯の色調も自然に整い、審美性についても大きく改善しました。
患者様からは、
「以前は硬いものを噛むことができず、人前で笑うことにも抵抗がありましたが、今では安心して食事や会話を楽しめるようになりました。」
とのお言葉をいただき、大変ご満足いただく結果となりました。
この症例では、「残せる歯は最大限保存し、保存が困難な歯には適切な補綴治療を選択する」という方針のもと、インプラント・ブリッジ・セラミック治療を組み合わせた包括的な治療計画を立案しました。機能回復だけでなく、清掃性や長期予後、審美性まで考慮し、患者様が長く快適に使用できる口腔環境の構築を目指しました。




ALL-ON-4(オールオンフォー)インプラント治療の注意事項(リスク・副作用など)
- 即時荷重の為、骨とインプラント体が結合しないケースがございます。
- メインテナンスを継続しないとインプラント体が抜けてしまう可能性があります。
- かみ合わせや歯ぎしりが強すぎる方は補綴装置が割れてしまう可能性があります。
- 本症例は自費診療(保険適用外治療)となります。
セラミック治療の注意事項(リスク・副作用など)
- 天然歯及び歯根を削ります。
- 硬い素材は天然歯を傷つけてしまう場合があります
- かみ合わせや歯ぎしりが強すぎる方はセラミックが割れてしまう可能性があります
- 本症例は自費診療(保険適用外治療)となります
根管治療の注意事項(リスク・副作用など)
- 根管治療により類似の全ての症例の問題が解決するわけではなく、症例はあくまでも一例です
- 根管治療により痛みや腫れがひかない事や、術後に痛みや腫れが生じる事、治療によるファイル破折やパーフォレーションなどの偶発症、術後の歯根破折を生じる可能性もあります
•本症例は自費診療(保険適用外)となります
その他の注意事項
- 担当歯科医師、歯科衛生士、または医院スタッフからお伝えした説明や注意事項について、ご確認をお願いいたします。
- 当院では、患者様に安心して治療を受けていただけるよう、治療内容や考えられるリスクについて分かりやすくご説明し、ご理解いただけるよう努めております。
- ご不明な点やご心配なことがございましたら、お気軽にお声がけください。
- 当サイトに掲載されている文章、画像、その他すべてのコンテンツの著作権は当院に帰属します。無断転載、複製、複写、盗用等はご遠慮ください。